sealegg’s diary

少しずつの改善を積み重ねるって大事らしいです。こんなのもあるよ、と誰かのヒントになればと思います。

ブックレビュー/バーチャル・エンジニアリング/ものづくり系仕事の将来

今回はテクノロジーのお話というよりも、テクノロジーが進歩した結果、今後の将来どうするべきかといったお話がメインです。

今30代の人は、目の前の仕事に没頭して定年を迎えられた世代にはもう当てはまらないのではないかと思います。ある意味、没頭して定年世代をうらやましく思いますし、おそらく学校教育とか親世代の言うことは没頭世代に最適化されているのではないかと思います。
ぼんやりした不安を感じますし、これってマクロでは景気にも良くなさそうです。どうせ不安感を感じるのなら、少しでも考えて、動くことを選びたいと思います。
まぁ、言うは簡単なんですが、日々普通に仕事しながらこういうこと考えるのって大変どころじゃないですよね。

設計から企画へ

「従来、完成車メーカーは、企画ブランド構築、構想設計、詳細設計、量産、セールスの各段階のすべてにまんべんなく力を割かなければならなかった。シーンベース開発により、企画ブランド構築と構想設計に集中して注力でき、ビジネスのやり方自体が従来と大きく変わることになる。構想設計の一部と詳細設計の段階では専門企業に参加してもらうことで強力なアシストを期待できる。サプライヤが機能設計を提案できるビジネスモデルに変革しているからである。完成車メーカーに代わって詳細設計を完遂できないサプライヤは、ティア1といえども生き残れなくなる。逆にこうした能力があるサプライヤとウィンウィンの関係を築けない完成車メーカーもまた生き残れない。」

企画やコンセプトなど、いわゆる設計よりもさらに上流に完成車メーカーの価値がシフトしてきています。
能力のあるサプライヤとウィンウィンの関係とは、具体的にどのような関係のことでしょうか?

まず、能力のあるサプライヤとは?
ぱっと思いつくところでは、CADで設計ができる、高精度や特殊な加工ができる、提案力がある、自社で材料購入・品質保証含め完結できる、自社の生産管理がきちんとできる、などでしょうか。

そして、能力のある完成車メーカーとは?
サプライヤからの提案を真摯に受け止められる、組み立てた製品として性能を出せる、シミュレーションができる、多くの部品・工程・サプライヤを管理できる、機械・工場・カネ・ヒト等のリソースがある、などが思いつきます。

自動車に限らず、サプライヤもティア1も高いレベルの企業でないと生き残れないですよ、ということかと思います。

ものづくりに差異がなくなったら

高精度なものづくりは優秀な工作機械と3Dデータさえあれば誰でも自由にできる時代になった。そこで改めて重要になるのが、人々の要求を具現化するコンセプトの創造である。
ものは誰でも作れる。とすると、設計力、コンセプト想像力、統合力が必要になってくる。

例えば3Dプリンティングがもっと安価になり、信頼性が確保できたとき、ものづくりは根底から覆ることになります。そしてものづくりに技能が必要なくなれば、賃金の安い国へシフトするのが当然の流れと考えられます。
つまり将来は、「どうやって作るか」よりも、「何を作るか」とか「全体で最適化するにはどうすればよいか」が重要になる時代がくるのではないかと思います。

今から考える癖をつけておかないと、何年か後にこの状況になった時に急に頭を切り替えることは難しいはずです。
ましてや30年前に入社して、これまでの考え方でずっと生きてきた人がたくさんいる企業は、今後生き残ることさえ難しくなってくるのではないでしょうか。少々悲観しすぎかもしれませんが、最悪の事態を想定して備えておくことは無駄ではないと思っています。

ものづくりが容易になれば、必要な人の数も少なくなります。労働人口の減少に対する解決策にはなりそうですが、これからの流れについていけない社員は、企業の業績が厳しくなると放出されるリスクが現在以上に高まるのではないかと思っています。そのような時代がくる前に私が定年退職するのであれば個人的には問題ない気がしますが、最近の流れを見ている感じではどうも近い将来に現実になるのではないかと感じています。どのようなスキルが必要か、どのように思考するべきか、日々考えながら仕事をしないといけないなと思いました。