sealegg’s diary

少しずつの改善を積み重ねるって大事らしいです。こんなのもあるよ、と誰かのヒントになればと思います。

ブックレビュー/バーチャル・エンジニアリング/自動運転に必要な「マップ」について

バーチャル・エンジニアリング(内田孝尚)の第3回ブックレビューです。
1冊読むのにあちこちググって調べながら進んでいるため、知識が広がるのを感じます。こういう本って意外と少なくて、例えば一般的な「仕事のやり方」といったビジネス書を読んでも、納得はするけどそこから自分で調べることはほぼありません。自分で知識を得るためにも、たまにはこういう「自分で調べるきっかけをくれる本」を読んでいきたいと思います。

マップ?

自動運転を実現するには、意外なことにマップが必要です。マップといってもただの地図ではなく、この本で言うところの「3Dマップ」つまり「ダイナミックマップ」が必要です。

ダイナミックマップとは、ただ場所や建物の高さがわかる地図ではなく、車がどこにいるか(位置)、そこはどんな場所か(路面の状態、道路周りの物の状態など)、そこはどういう状態か(交通規制、天気など)という情報が含まれた地図のことです。
安全に自動運転で走るためには、車の位置だけではなくて、もっと細かい車線の幅やカーブの形状、道路の凹凸などの情報、その場所に関する現在の情報が必要になるため、このような地図が必要になります。

さらにダイナミックマップとは

ダイナミックマップには動的データと高精度3次元地図から構成されます。

ダイナミックマップとは、時間とともに変化する動的データ(動的情報、準動的情報、準静的情報)を高精度3次元地図(自動走行用地図)に紐づけしたもの。このうち高精度3次元地図については、民間企業の出資による基盤整備会社により協調領域として整備が進んでいる。(官民ITS構想・ロードマップ2018)

高精度3次元地図のイメージ(日経ビジネスオンライン)。SFの世界みたいです。
ダイナミックマップはこれに動的データをつけたもの、ということですね。記事へは画像クリックで飛びます。

日経ビジネスオンライン


欧州では既にほぼ全ての道路がダイナミックマップ化されているそうです。

欧州全体の高速道路、一般道路のほとんどが0.1ミリ精度の表面性状データで既に測定され3Dマップ化されている。このマップには交通ルール、渋滞、交通流の状況情報も含まれた各交叉点情報も含まれる。この測定は自動車やヘリコプタに搭載した3D計測を使って行われる。燃費、動力特性をシミュレーション検討するときは、これらの計測された実際の道路モデルを用い、バーチャル走行することで検証、検討が行われる。


自動運転実現には、ただ自動運転できる車を開発するだけではだめで、こういったインフラ面での整備も必要になります。

日本ではどうなっているのか?

日本でもダイナミックマップ基盤株式会社という会社が設立され、2018年度中に高速道路の高精度3次元地図が整備される予定です。

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1706/14/news043.html
2017/6の記事だったので現在どうなっているのか探してみましたが、まだ情報がありませんでした。
今年度末~来年度初め頃にまた確認したら情報があるかもしれません。

ダイナミックマップ基盤株式会社
ダイナミックマップ基盤株式会社は自動車メーカー、電機メーカー、地図測量会社、産業革新機構が出資している会社です。
産業革新機構は官民出資の投資ファンド(95%は政府による出資)で、経済産業大臣が業務を監督することになっています。産業革新機構 - Wikipedia


自動運転に関する最新の情報は、内閣のIT総合戦略本部の官民ITS構想・ロードマップ2018が詳しいです。


参考資料
iot-jp.com