sealegg’s diary

少しずつの改善を積み重ねるって大事らしいです。こんなのもあるよ、と誰かのヒントになればと思います。

ブックレビュー/バーチャル・エンジニアリング/欧州の研究開発フレームワーク・プログラム

バーチャル・エンジニアリング(内田孝尚)を読んだので、なるほどと思った点を中心にメモを残します。

 

「欧州では研究開発フレームワーク・プログラム(Nth FP)という、オールヨーロッパで様々な検討を分担で実施しながら戦略的に欧州全体の工業競争力を引き上げる活動がある。30年以上継続されており、プログラムが終了すると結果などが公開される。これまでこのプログラムの制度設定や提案により、ISOを含む多くのルールやスタンダードが世界標準として決められた。」

 

オールヨーロッパで、目先のことではなく長期的な視点で、スタンダードを作成していくという姿勢に驚きました。30年以上も積み重ねてきていて、産業の足腰が根本的に違うように感じました。おそらく日本も同様の取り組みはあるのでしょうけど、中長期的な視点で戦略を考えるのがどうも苦手なのではないかと思います。

 

EUの科学技術情勢」についてのレポート

 https://www.jst.go.jp/crds/report/report10/EU20151101.html   

 

 

FP7では、標準規格を制定するための研究も研究対象とされています。つまり標準規格を作ることそのものが目標とされています。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000091012.pdf

 

欧州は多様な国が集合しているため、EU全体の効率化を考えると標準規格化しないといけないのは当然ではあるものの、結果として産業の主導権を得ることができることにつながっていると思います。多様性という困難をいかに乗り越えるかが、結果として強みになっている気がします。

日本ではどうなのでしょうか?ガラパゴス化して衰退している産業も近年たくさんあるように思います。

 

自動車の他に、他に欧州鉄道輸送管理システム(ERTMS)等もFP4フレームワークプログラムで技術開発、標準化されています。

https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2013/04/68_04pdf/a13.pdf

鉄道は国境を越えてつながっているし、標準化するイメージもわきやすいです。FP4自体は昔の話ですが、システムが標準化されていることで、現在IOT等が導入しやすくなっているのではないかと思います。逆に日本の新幹線を輸出するにはハンデになるのではないかと思います。新幹線が欧州の輸送管理システムに適合しているとはちょっと思えません。システムなので乗せ換えれば何とかなるような話なのでしょうか? 

 

参考までに欧州以外の諸外国の政策動向は、文部科学省総合政策特別委員会 資料2 関連データ集 2.諸外国の政策動向にまとまっています。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/1354019.htm